株式会社ベジタルアドバンス様

2024.11.6

受賞企業インタビュー
株式会社ベジタルアドバンス 代表取締役 田口勇夫社長


第79回 グランプリを受賞したデザインコーヒーを販売する株式会社ベジタルアドバンスの代表取締役 田口勇夫社長にお話を伺いました。



Q.まずは会社の歴史や成り立ちについて教えてください

【田口社長】2020年5月・JFS(ジャパンフードセレクション)で金賞を受賞した現在会社の主力商品であるライフスープの開発・販売に伴って会社を設立しました。被災時の避難場所での備蓄品を避難所で平時の仕事にする仕組みを「福祉避難と障碍者・高齢者」間でできないかと考えて事業を立ち上げました。
【理事長】特に災害が起こって3日間くらいは救援物資も届かないですよね。災害の時に避難所にいる障碍者の方たちでも携われる業務を設計したのですね。
【田口社長】東日本大震災では一般の方に比べて障碍者の方の死亡率は二倍でした。そういった事態を防ぐためにというのが一点。また普段は障碍者の方々が作業してお給料をもらえる仕組みにしたいと思ったのが事業を立ち上げたきっかけです。
【理事長】東日本大震災では影響を受けましたか。
【田口社長】事業立ち上げ時には影響を受けました。障碍者の方は特に健常者の方よりも被害が大きかった部分がありましたので。

Q.会社として大切にしている言葉はありますか

【理事長】例えばフードアナリスト協会では「尊命敬食」という言葉を大切にしています。命を尊び、食べ物を敬いましょうという意味ですね。美食ではなく敬食ですね。そのような大切にされている言葉はありますか。
【田口社長】理念としては『変化を恐れずに常に前進する』ことです。社会課題を解決できるような、新しい食品を開発し、事業化していくことを考えています。常々、子供たちに胸を張れる仕事をしたいと考えています。子供=未来ですからね。
【理事長】今回出品されたコーヒーには、テアニンやギャバなども含まれていますよね。
【田口社長】こちらも社会課題に繋がるのですが、日本人は睡眠不足ですよね。睡眠不足による経済損失が15兆円などという試算もある。そういった問題の解決に少しでも貢献できればと考えました。
【理事長】なぜコーヒーを選ばれたのですか
【田口社長】逆転の発想ですよね。皆さんご存じの通り、コーヒーには二面性があります。覚醒作用とリラックス効果です。その内の覚醒作用を取ってしまって、リラックス効果だけに特化したのが最大の売りです。
【理事長】田口社長の会社の商品は本当に面白い商品ばかりですよね。午後はコーヒーを飲めないという方もいらっしゃるじゃないですか。そういう方でも夜に飲めたら良いですよね。
【理事長】話を戻しますが社長は東日本大震災をきっかけに、災害時要配慮者の方々たちのためにライフスープを開発し、会社を設立されたというお話でしたよね。
【田口社長】要配慮の中でも特に障碍者の方は栄養が偏る傾向が表れます。その方々は食べられる物に制限がある場合があります。逆に障碍者の方々が食べられる食品は、みんなが食べられる食品なんです。これこそが「公平な食」ですよね。そういう「食」を目指しています。そのためアレルギー原材料28品目も入っていません。アレルギーがある方が食べられなければやはり「公平な食」ではないですから。

Q.仕事をする上で、気を遣っていることはありますか

【田口社長】社内では『調べる前に最初に自分で考えよう』ということを言っています。今はインターネットですぐに調べてしまいますが、そうすると先入観が入ってしまい新しい考えが出てこなくなります。過去にどんな物があったか調べる前にまずは一度考える。『既存に寄せるな』ということを言っています。例えばデザインなどもきれいなデザインはこうだというように決まりきったことはしないということです。まずは自分自身で考えるように伝えています。

Q.座右の銘はありますか

【田口社長】『一般方向パリ』という船乗りの用語です。ルートにとらわれずに、目的地を目指すという意味です。どんなルートを通っても良いんだよという。昔、私が「父親から子どもへ贈る文」として伝えたことがあります。



Q.社長ご自身のこともお伺いしたいのですが趣味などはありますか

【田口社長】野球が好きです。20年近く監督もしています。特技といいますか、また樹木の「ツラ」「表裏」を見分けることができます。要は樹木のどこが一番綺麗に見えるかを選ぶことができるんです。父が造園業を営んでいたので、そのおかげかもしれません。

Q.何をしているが時幸せですか

【田口社長】時間を有効に使えた時が幸せですね。どんなことでも良いのですが、自分が「~したい」と思ったことを実際にできた時に「時間を有効に使えたな」と思います。

Q.商品の成り立ちを教えてください

【田口社長】地元の群馬県に大和屋さんというコーヒー豆を売っているお店があって、そこで日本酒にコーヒー豆を浸けたコーヒーを売っているんです。それを飲んだ時にライフスープにも使用できるのではと思いました。大和屋さんの担当者に話をしたところ快く引き受けてくれまして、ライフスープに浸けたコーヒー豆を作ってくれました。
スープにコーヒー豆を浸けたらビタミンに特化したコーヒー豆ができるのではないかと最初は考えたんです。ただライフスープには塩分が入っているので、塩分が入っているとコーヒーは美味しくなかったんですよ。でも私は最初の試作品を試飲した時に、塩分さえ抜けばこれはいけると思いましたけどね。さらにここから何かに特化した物を作ろうと考えました。ビタミンはあまりコーヒーに合わないと分かったので、何か他のターゲッティングしたコーヒーを作ろうと。そこで眠りという社会的な課題をターゲットにしたコーヒーを作ろうと思ったんです。数値化したデータを基にクワンソウを足して、オリジナルの「スリーピングパウダー」を作りました。そして「スリーピングパウダー」に最適なブレンドを大和屋さんに作ってもらいました。完成までは一年かかりました。
ご存知かもしれませんが、コーヒーは繊細なので違和感という物がすぐに分かります。大和屋さんが違和感がなくなるまで焙煎やブレンドを試行錯誤してくれました。一番苦労したのはやはり味ですよね。効果がある物を混ぜるだけなら誰でもできます。でも美味しくなかったら意味がないですよね。ちなみにテイストは二種類ありまして、マンデリンメロウとモカリラックスを販売しています。

Q.どんな方に、どんな時に飲んでほしいですか

【田口社長】日常生活で皆さんストレスを感じていますよね。夜リラックスする時に、自分の部屋で日常生活の中の非日常として一緒に飲んでいただけたら良いなと思います。他には場所で言うのであればグランピングとか、リゾート地であるとか非日常空間でリラックスする時も良いのではないでしょうか。

Q.出品したきっかけはなんですか

【田口社長】最初はライフスープをフードアナリストの方に推薦商品で挙げていただきました。正直驚いたんです。商品は店頭で売っておらず、ネットのみでしか扱ってないんです。おかげさまで類似品がないのですごく評判が良いんですよ。こちらで賞をいただけたので、次に今回のコーヒーを出品してみました。結果的にはグランプリをいただくことができました。

Q.防災についても教えていただけますか

【田口社長】一次防災と二次防災は分けて考えた方が良いですね。一次防災はまず逃げること。二次防災は助かった後にどうするかということです。大体3日くらいで日本は救助が入ります。しかし避難生活においては日本はまだとても課題が多いです。例えば体育館で雑魚寝をするというのもそうです。血行も悪くなるし、精神衛生もよろしくない。栄養バランスも崩れていきます。だから体調を崩さないような食事が必要です。



Q.JFS(ジャパンフードセレクション)の反響はどうですか

【田口社長】最初にライフスープで受賞しました。この商品は5年以上保存できる備蓄食品です。前例がないので周囲からもすごく驚かれました。こういうジャンルの物でも受賞できるということにも驚いています。防災備蓄食品はどうしても美味しくないというイメージを持たれます。しかしこの賞を受賞できたことで、防災食品でも美味しい物があるという事の裏付けになりました。

Q.今後の展開で考えていらっしゃることはありますか

【田口社長】当社は常に新商品を開発しています。「デザインするコーヒー」についても、今回は「眠り」がテーマでしたが、実は新たな商品もすでに考えています。
【理事長】『恋愛をデザインするコーヒー』はいかがですか。若い人は恋をしなくなっているので。次はワクワク感を生むコーヒーも良いですね。
時代は「モノ消費」から「コト消費」に移っていますから。例えば誰とどんなシチュエーションで飲むのか。味も時間の感じ方も、それによって大きく変わっていくじゃないですか。思い出をちゃんと作れるような商品が大事だと思います。
その上で日本には御社のような面白い会社が必要だと思います。今でも十分面白いことをやられていますけど。どんどん挑戦していただきたいですね。
【田口社長】我々は新しい事業を創造し続けるのが使命だと思っています。誰かが真似できないものを創り続けていきたいです。

受賞商品紹介

第79回 ジャパンフードセレクション グランプリ受賞商品
デザインコーヒー Good Night モカリラックス(右)
デザインコーヒー Good Night マンデリンメロウ(左)


https://www.vegitaladvance.com/designcoffee

受賞企業プロフィール

株式会社ベジタルアドバンス
令和2年5月設立。社会課題解決手段を商品化し、事業として確立していく進化系企業。2020年7月に販売を開始したメイン商品「ライフスープ」は、近年頻発する災害時において避難者の「健康的な避難生活」をサポートしている。その他、第79回の受賞商品である「デザインコーヒー」などユニークかつ挑戦的な商品を次々に開発。社会のニーズに真摯に向き合う社会的企業である。
代表取締役 田口勇夫社長は、防災士や災害備蓄管理士などの資格も取得。また環境系NPO法人理事などの要職も歴任していた。
変革の時代を生き抜くための新しい価値を常に創造し続けている姿は、まさに時代のニューリーダーだと言えるだろう。

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