
左から企画開発部主任 安藤 航 様、取締役 千葉 輝之 様、企画開発部部長 榊原 恵介 様
Q.会社名「沁」に込めた思いを教えてください
もともと弊社は、富士山の天然水を販売している会社が母体にあります。そこからお酒と化粧品をメインに展開する会社として「沁株式会社」を立ち上げました。「沁」という字は、さんずいに心と書きます。さんずいは水のイメージがありますし、「水で心まで沁みる」という意味合いを込めています。読み方は「みずごころ」です。
富士山の天然水を使って、本当にいい商品を生み出したいという想いが前身にあります。お酒づくりのきっかけも、その水でした。お客様から「この水でお酒を割ると悪酔いしない」「すごくおいしい」という声を多くいただいていて、それならいっそ、この水を使ってお酒そのものを作った方がおもしろいんじゃないか、という発想に至ったんです。酒蔵さんを選定し、何度も試作を重ねる中で、「表面だけでなく、体の内側までストンと沁みるお酒」を目指しました。ちょうど「沁みる」という漢字とも重なりますし、社名と商品名を一文字で表現しようと考えました。思いとしては、表面的なおいしさではなく、内側まで沁みるものを作りたい、というところですね。
Q.まずは化粧品事業を始めた理由を教えてください
お酒と同じで、「この水を使いたいよね」というところでスタートです。現在スキンケア商品は2ブランドあり、「スー・ルシール」と「VESMEUR」を展開していますが、「VESMEUR」はサロン専売でコンセプトも価格帯もまったく違うので、ここでは「スー・ルシール」についてお話します。 化粧水のミストスプレーと固形石鹸を出しているのですが、これもすべて富士山の源水を使っています。きっかけはお客様で、源水をスプレーボトルに入れて顔に吹きかけている方がいて、「肌がしっとりしてすごくいい」という声を聞いたんです。実際に試してみたら面白いんじゃないか、というところから開発が始まりました。通常、化粧品には不純物のない純水を使いますが、弊社はミネラル成分を含んだ源水をそのまま使用しています。比較試験を行ったところ、浸透率も高く、肌の水分保持力も純水より長いという結果が出ました。源水は粒子が細かく、お酒にしても化粧品にしても溶け込みやすい。そうした親和性の高さもあり、化粧品展開に踏み切りました。ミストスプレーは約97〜98%が源水で、残りに最低限の美容成分を配合しています。肌につけるなら、できるだけナチュラルで、必要なものだけを一緒に取り込みたいという考えです。
Q.看板商品について教えてください
麦焼酎と芋焼酎の2種類です。麦焼酎は非常に軽く、日本酒に近いくらいスッと入るので、ライトな方からお酒好きの方まで飲みやすいです。芋焼酎もかなり飲みやすいのですが、どうしても「芋はクセが強い」という先入観があるので、最初は麦を選ばれる方が多いですね。 ただ面白いことに、結果的な売れ行きはほぼ半々です。最初に麦を飲んで、「おいしいから芋も試してみよう」となり、芋のリピートにつながるケースが多いです。
どちらか一方に偏ることはあまりなく、今のところ「沁のお酒といえばこの2本」という位置づけです。将来的なポテンシャルは、芋のほうがまだ伸びる余地があると感じています。
Q.今回受賞した芋焼酎の特徴は?
一番の特徴は、製法へのこだわりです。蒸留は単式蒸留の微減圧を採用しており、日本酒に近い考え方を取り入れています。さらに、雑味を取り除くためのフィルター工程も、日本酒と同じ回数をかけています。焼酎では通常1回程度のところを、3回通すなど、かなり手間とコストをかけています。
もう一つの大きな特徴が長期貯蔵です。一般的に3年以上で長期貯蔵酒と呼ばれますが、この芋焼酎は約10年寝かせています。貯蔵することで角が取れ、味わいが圧倒的にまろやかになります。また、年々味が変化していくのも特徴で、その変化自体を楽しめるお酒になっています。
Q.どんな方に、どんなシーンで飲んでほしいですか?
理想を言えば、すべての方に飲んでほしいです。最近はお酒離れが進んでいますが、焼酎や日本酒は日本の伝統的なお酒です。本当においしいものを飲めば、「焼酎っておいしいんだ」と感じてもらえると思っています。特に、焼酎に苦手意識を持っている若い方やライト層にも、沁みるように飲みやすいお酒として試してほしいですね。
一方で、50代以上の焼酎や日本酒に親しんできた世代にも、「これはおいしい」と思ってもらえる味を目指しています。また、飲んだ方が誰かに勧めたくなる、贈答用として選びたくなるお酒でありたいと思っています。お歳暮やお中元などで「ありがとう、おいしかった」と言ってもらえるような存在ですね。そのため、化粧箱などのパッケージにもこだわっています。

Q.JFS(ジャパンフードセレクション)出品のきっかけは?
正直、最初は出品する予定はありませんでした。ですが、フードアナリストから推薦があったこと、日本の食文化や製造に至るまでの評価制度など自社商品がどこまでなのか確認する意味でも興味がありました。
また、推薦という形自体が、自社商品を評価してもらえている証でもあり、それは素直にうれしかったですね。担当の方も「ぜひチャレンジしましょう!」と言ってくれたのも大きかったです。
Q.受賞を今後どのように活用していきたいですか?
まずはWebや会員向けに広報として告知します。受賞記念のキャンペーンも予定していますし、パッケージにロゴを入れてアピールもしていきたいですね。飲食店や卸、小売店さんへの営業ツールとしても活用できればと思っています。SNS発信や、勉強会・アンケートといったJFSならではの取り組みも、うまく活かしていきたいです。
Q.今後の展望について教えてください
この焼酎は日本の伝統的な技法で作られたお酒なので、将来的には海外にも展開していきたいと考えています。
また、お酒に関しては日本酒やワインなど、他のジャンルにも挑戦したい。富士山の水を軸に、業種に縛られず、新しいものづくりを続けていきたいですね。
何より大切にしているのは、「作る本人が惚れ込めるかどうか」。
自分たちが本当においしい、楽しいと思えないものは出したくない。その想いをこれからも大事にしていきます。
第94回 ジャパンフードセレクション グランプリ受賞商品
本格芋焼酎 沁
沁株式会社
山梨県を拠点に、富士山の天然水を活かした酒類・化粧品などの企画・販売を行う企業です。社名の「沁(みずごころ)」には、水の恵みを活かし、表面だけでなく心の奥底まで沁み込むお酒でありたいという想いが込められています。
主力商品である本格焼酎「沁(みずごころ)」は、製法や熟成にまで細やかな工夫を重ねることで、飲み心地の良さと奥行きのある味わいを追求しています。また同社は「水の可能性」を軸に、化粧品などの分野にも事業を展開。自然への敬意と、自らが本当に惚れ込めるものづくりを大切にしながら、ブランドを発信し続けています。
https://mizugokoro.co.jp/